作家・吉村喜彦のホームページ

山田太一さんの本『夕暮れの時間に』に
拙著『ビア・ボーイ』(PHP文芸文庫)の書評が載っているのを発見しました。
夕暮れの時間に表紙
山田さんは、「正義」をテーマにした小説として、
漱石『坊っちゃん』、石坂洋二郎『青い山脈』と比較評論してくださっています。
とても光栄です。ありがとうございます。
ビアボーイ表紙
ビアボーイ本文1
ビアボーイ本文2
ビアボーイ本文3
 『夕暮れの時間に』は、書評、映画評などのエッセイが載っています。
 なかでも小津安二郎の映画についての文章は秀逸。

 また、山本周五郎『青べか物語』への称賛、立原道造が好きだった頃のことなど、
とても興味深い話がつづきます。
夕暮れの時間
    
              *       *      *

「いま、大人というものがいたら、こんなことを言う大人がいいな、と思っているのです」と山田さんは書いて、
吉野弘の詩を紹介しています。

 魂のはなしをしましょう
 魂のはなしを!
 なんという長い間
 ぼくらは 魂の話をしなかったんだろう
               (吉野弘「burst 花ひらく」)

夕暮れ2
 そして、吉野さんは、「慰安が吹き荒れる」いまの日本では、
「なやみが枯れるねがいが枯れる言葉が枯れる」
 と書いていると。
     
               *      *      * 

『夕暮れの時間に』は、「一年の夕暮れ」の時間に読むのにぴったりでした。
 読みながら、『異人たちとの夏』の主人公が、
生まれ故郷・浅草で父母の亡霊とすき焼きを食べるシーンを思い出していました。
 あのシーン。
 何度読んでも、観ても、目頭が熱くなります。
夕暮れ3
 そうだ。今日は、「慰安」よりもジャニス・イアン。
 「岸辺のアルバム」を思い出しながら、聴こうっと🌳

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