創業1596年(慶長元年)の東海道・丸子宿の「丁字屋(ちょうじや)」。
「梅若葉 まりこの宿の とろろ汁」という芭蕉の句も残されています。
静岡市中心部から安倍川を渡って、クルマで10分。
「伊勢物語」などでも有名な、
宇都ノ谷峠(うつのやとうげ)にさしかかる前にあるのが丸子宿。
「駿河なる 宇津の山べの うつつにも 夢にも人に あはぬなりけり」
在原業平とおもわれる主人公が、
宇津の山に入ろうとしたとき、暗く細く、ツタやカエデの茂る、寂しい道に心細く思ったという歌です。
そういう峠越えの前後に、旅人が、とろろ汁を食べて、
滋養をつけたのかもしれません。
自然薯、自家製味噌と削り節で作られた味噌汁、そして卵で仕上げられています。
麦飯の上に、とろろをかけて、流し込むように食べます。
ふわっと優しいとろろに、さらっとした麦飯がバッチリ。
いにしえの旅人も同じものを食べていたかと思うと、感無量。
店を出ると、駿河のきれいな青空が広がっていました。