日本を代表するアートディレクター&グラフィックデザイナー、
井上嗣也(いのうえ・つぐや)さんの
個展が原宿ではじまった。
嗣也さんとは、サントリー時代以来、親しくさせてもらっている。
ご一緒した仕事は、ミッキーロークのニュー・リザーブのシリーズ、
サントリーホワイトのジャズ・シリーズ、
リザーブのカレンダーなど、おもにウイスキー広告。
サントリーから独立したとき、
ぼくと女房の会社=モンキーハウスの名刺&ロゴデザインも嗣也さん。
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リザーブのCM撮影のあいま、サンディエゴ動物園の猿たちの前で、
しばらく嗣也さんとふたり、その姿を見つめていた。
嗣也さんが「猿って、人間より、ずっと自由だよね」
と言ったひとこと。
それがずっと胸のなかにあって、
モンキーハウスという会社名にも、やがてつながっていった。
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嗣也さんは、広告をアートにしたひと。
作品は、コム・デ・ギャルソンをはじめ、
パルコ、坂本龍一や忌野清志郎のアルバムジャケット、など
数えきれない傑作ぞろい。
そんな作品を網羅した、
井上嗣也作品集『Tsuguya Inoue Graphics』(リトルモア)の刊行記念
の展覧会。
久々にお目にかかった嗣也さんは、
あいかわらず飄々と身軽にあの世とこの世のあわいを往還し、
これぞ、アーティストという感じ。
力の抜けぐあいが、まさに剣の達人のよう。
ここ一瞬、研ぎ澄まされた眼光が発せられ、
作品が生まれていく。
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『江戸酒おとこ』も気に入ってくださって、
わざわざ葉書もいただいた。
そのなかに、嗣也さん自ら描いたお猪口の絵。
これがなんとも可愛らしい。
キュートな嗣也さんがそこにあらわれている。
鋼のように、やさしく。
黒絹のように、強い。
嗣也さんは、いつも黒と白の服でキメている。
追伸:井上嗣也さんの個展「Tsuguya Inoue Graphics +81展」。
3月7日〜4月20日まで東京・原宿の「+81 Gallery Tokyo」で開催。