最初は、アイルランドに行きましょう。
アイルランドは、ウイスキーが生まれた土地だとよく言われます。
ウイスキーという言葉は、ゲール語(ケルト系の言葉)の「ウシュクベーハー=生命の水」
から来ているそうです。
ウイスキーは大麦の麦芽と水、酵母から作られますが、アイリッシュ・ウイスキーは、
とくに大麦の青っぽい香りがするのが多いような気がして、
ぼくは、その爽やかで優しい味わいが大好きです。
スコッチ・ウイスキーは、ピートといわれる泥炭で、麦芽を乾燥させるので、
スモーキーな香りが特徴で、それがまた美味しいのですが、アイリッシュは、ほとんどの場合、
ピートを使いません。
なので、スモーキーフレイバーよりも、麦の香りがグッと出てくるのでしょうね。
また、スコッチが蒸留を2回するのに対して、アイリッシュは3回蒸留なので、
よりスムーズな、滑らかな舌触りになっています。
ぼくが好きなのは、ソーダ割り。ガス圧の強い炭酸水よりも、きめ細かい泡の出る優しい
炭酸水で割るほうが、より一層美味しいように思います。
まだ、寒いこの季節には、ホットウイスキーがいいですね。
ホットコーヒーにアイリッシュ・ウイスキーを注ぎ、生クリームをフロートさせた
「アイリッシュ・コーヒー」も、冬にはぴったり。風邪を引いたときにもいいですよ。
では、アイルランドの、大好きなバンド、アルタンの歌で、「green grow the rushes」
お聴きください。グリーンといえば、3月17日のセントパトリック・デイには、アイルランドでは、パレードが行われ、皆、緑色のものを身に着けて参加します。
_________________________________________
M1.アルタン「green grow the rushes」 3:57
________________________________________
ウイスキー誕生の地は、アイルランドではなくて、こっちだよと主張するのは、
ご存知、スコットランド。
どちらが起源の地かは、資料もないことなので、みなさんのご想像にお任せするとして、
ま、アイルランドもスコットランドもケルトの土地、ということは確かです。
で、スコッチウイスキーの美味しい飲み方、いろいろありますが、
ぼくが好きなのは、「トワイスアップ」という飲み方。
まず、グラスにウイスキーを注ぎ、そこにウイスキーと同じ量の、常温の天然水を注いで、
できあがり。
じつに簡単な「カクテル」です。
で、この「常温」というのが、キーポイント。
ウイスキーの香りが、より立ちのぼってくるんですね。
とってもシンプルですが、奥深いのです。
グラスを揺すって飲むと、さらに香りが立ってきますので、ワイングラスや
テイスティンググラスなどの、脚つきのグラスがあれば、よりいっそう良いですね。
ちなみに、ウイスキーの蒸留所でも、ブレンダーの方々は、ウイスキーと水で1:1で割って、(つまりトワイスアップで)その味と香りをきいています。
親しいブレンダーの方にも、1:1が一番美味しいよと教えてもらいました。
光がプリズムによって、7つの色に分かれるように、
ウイスキーも、水で割ることで、味と香りが分かれて、本質がわかりやすくなるのですね。
では、スコットランドを愛すロッカー、ロッド・スチュアートの歌で
「Country Comfort」。聞きましょう。
__________________________________
M2.Rod Stewart 「Country Comfort」 4:46
___________________________________
オランダのジンが、海を渡ってイングランド・ロンドンにやってきて、
いま、みなさんに馴染みのある、あのジンが生まれました。
また歴史をさかのぼりますが・・
1689年に、オランダのオレンジ公ウイリアムがイングランド国王に迎えられたときに、
オランダのジンもイングランドに広まりました。
やがて、19世紀になって、連続式蒸留器が発達して、より純度の高い蒸留ができるようになって、ジンは、ますますクリアな酒になっていき、ロンドン・ジンと呼ばれるようになっていきました。
このタイプのジンが、いま、ぼくらがジン・トニックやマティーニなどのカクテルに使っているジンなんですね。
いま、カクテルに話が及びましたが、ジンはイングランドからアメリカに渡ってから、
カクテルのベースとして一躍脚光を浴びて、世界の酒になっていきました。
そういう歴史を踏まえて、
「ジンは、オランダ人が生み、イギリス人が洗練し、アメリカ人が栄光を与えた」と言われています。
ぼくは、冷凍庫にひやして、トロッとなったロンドン・ジンに、
冷たいライムジュースを絞り込んだ飲みもの。大好きです。
では、ビートルズの弟バンドといわれた、バッドフィンガーの「嵐の恋」
そして、後にニルソンがカバーした名作「Without you」を聴きながら、今日はお別れです。バッドフィンガーには、ちょっとせつなく、青い風のようなジンが似合っています。
ご案内は吉村喜彦でした。
__________________________________
M6.Badfinger「No matter what嵐の恋」 3:00
M7.Badfinger 「Without you」 4:40
___________________________________
(おまけ)ハリー・ニルソンの「Without you」
(選曲リスト)
「グリーン・グロウ・ザ・ラッシズ」
アルタン
(3分57秒)
<東芝EMI VJCP-68197>
「カントリー・コンフォート」
ロッド・スチュワート
(4分46秒)
<マーキュリー PHCR-3069>
「ゲット・ラッキー」
ダフト・パンク、(ボーカル)ファレル・ウィリアムス、(ギター)ナイル・ロジャース
(4分07秒)
<ワーナー WPCR-15481>
「涙とともに」
トリアケル
(3分34秒)
<ライス INR-9019>
「ヴィーナス」
ショッキング・ブルー
(3分02秒)
<ビクター VICP41175~6>
「嵐の恋」
バッドフィンガー
(3分00秒)
<東芝EMI TOCP-65610>
「ウィズアウト・ユー」
バッドフィンガー
(4分40秒)
<東芝EMI TOCP-65610>