先日、角川春樹さんから、厚岸(あっけし)ウイスキーを
いただきました。
厚岸は、北海道東部、釧路の東にある町。
おいしい牡蠣(かき)で有名ですよね。
ウイスキー造りには、冷涼で湿潤な気候がたいせつ。
湿原に囲まれ、水が良く、海流の影響で霧が生まれるこの厚岸は、
ウイスキー造りにはぴったりの土地。
小さな蒸留所で、2016年11月、はじめてウイスキーが蒸留されたそうです。
今年(2018年)2月、第1弾ウイスキーが初出荷。
あっという間に完売になり、
そして、8月末に、第2弾が売り出されました。
今回のウイスキーは、
ピート(泥炭)で燻香(くんこう)をつけたモルトウイスキーを
バーボン樽で8~17カ月熟成。
バッティング(混ぜ合わ)したものだそうです。
ぼくの小説『ウイスキー・ボーイ』では、
霧多布(きりたっぷ:厚岸の東側に広がる湿原)蒸留所
というのが登場します。
霧多布や厚岸周辺の水や環境が、ウイスキー造りにぴったり
と聞いて、「霧多布蒸留所」をフィクションのなかで立ち上げたのでした。
そんなこんなで、厚岸ウイスキーにはものすごく興味があって、
先日、角川春樹さんが、
「じゃあ、厚岸ウイスキーをプレゼントしましょう」と
おっしゃってくださったのでした。
テイスティングをしてみると────
コルクをとった瞬間から、ウイスキーの香りがあたりに漂いだしました。
58度というアルコール度数なのに、
甘みと微かな塩気が融け合って、とてもやわらかな印象。
ピートでたかれたモルトの香りが効いていて、ひじょうにスモーキー。
スコッチのアイラ・モルト、とくにラガブリンのようです。
なかなかこんな美味しいニューポット(できたてのウイスキー)はないです。
水で1:1に割って飲むのが、いちばん、香りと味がわかるようです。
厚岸モルトのニューポット。
「栴檀は双葉より芳し」でしょうか。
でも、小さい頃から「可愛い可愛い」と言って育てられると、
碌(ろく)な大人にならないということもあります。
いったい、これから、
このウイスキーは、どう育っていくのでしょうか。
モルトを育む、ひとと自然。
そのプロデュースの力がたいせつですね。
厚岸モルトの行く末が楽しみです。