宮廷料理から百年古酒まで。
知恵と心とユーモアを味わう上質スローフード紀行。
旅は、那覇の牧志(まきし)公設市場からはじまった。
そこは活気に溢れ、子どものころのお祭りや縁日の雰囲気とそっくりだった。二階にある食堂「きらく」の李(り)さんとの会話がきっかけで、ぼくは、ざっくばらんな沖縄の食の魅力に惹かれていった……。
国をあげてのもてなし料理だった宮廷料理を食べに、かつての王都・首里へ、神さまと人とが一緒に食事をするお盆の夜を過ごしに友人宅へ、戦後、アメリカや南米の影響を受けた現代沖縄料理へ、フルーツのくに・山原(やんばる)へ。そして、沖縄の心の真ん中に座っている古酒(クース)の世界へ。
人と出会い、風に揺られ、身体で感じながら見えてきたものは。