「家庭画報」22年1月号の特集「ワルツの熱情」に
寄稿させていただきました。
タイトルは、
「愛とかなしみの3拍子」。
ウインナワルツを中心とした特集で、
ウインナワルツ以外の、ロック、ポップス、ワールドミュージックの
3拍子の音楽を紹介しています。
3拍子には、「せつない」メロディーが多いです。
その「せつなさ」は、どこから来るのか、
と思いました。
3拍子の音楽を聞いていると、2拍子や4拍子よりも、なぜか心が休まります。
それは、ひとの鼓動が3拍子だからかもしれません。
母の胎内にいる頃から、この世を去る日まで、ぼくらは心臓のリズムを刻んでいます。
それは「ト・ク・トゥ、ト・ク・トゥ」の三拍子。弁膜の開くときの音があいだに入るからだそうです。
ひとがこの世にある限り、からだの奥底には、ワルツのリズムが脈打っているようです。
しかし、命には始まりがあり、必ず、終わりがある。
三拍子には、死を免れない命のかなしみ(愛しみ、哀しみ)が宿っているように思います。
いくら明るい曲を聴いても、どこかせつない気分になる由縁は、そこにあるのかもしれません。