4月2日。春うららの午後。
同志=金聖雄(キム・ソンウン)監督の最新作「オレの記念日」を観ました。
布川事件で無実の罪をきせられた桜井昌司(さくらいしょうじ)さんを追ったドキュメンタリー。
桜井さんが無罪と認められるまで43年7カ月。
そのうち29年間を獄中で過ごしました。
現在、75才。
2年前にガンが見つかり、医師からは余命1年と宣告されました。
無実の罪で獄中29年そして余命宣告。
それでも超ポジティブに生きる桜井さんの
人生の記念日をつづった映像詩──「オレの記念日」は、そんな映画です。
「えん罪」を告発するというような映画ではなく、
桜井さんという、強くやさしく、やんちゃでおもろい人間そのものに焦点をあてた素敵な映画です。
人間のもつ「悪」や「不条理」
限界状況のなかで、ひとはいかに生きるべきか、など。
世界の危機的状況のなかで生きるぼくたちに
強いちからを与えてくれる映画だと思います。
観おわった後、
「よし。明日も、なんとか生きよう。きっといいこともあるよ」
という気持ちになります。
さまざまな苦しみ、怒り、恨みつらみを受け入れ、噛みくだき、
「くそっ」と思いながらも、
笑い、笑わせ、詩を書き、
歌いながら坂道をゆらゆら上っていく桜井さん。
桜井さんにとって、きっと、
「言葉」=「うた」が心の支えなのだ、
と思いました。
(そして、刑務所を出た後に結婚した恵子さんに
いまは何より支えられているように思いました。
恵子さんをハグする桜井さんの姿を思い出すと、
いまも胸が熱くなります)
強制的自白のときの「言葉」に呪われ、
自らを「言葉」によって元気づけ、治癒し、
その「言葉」で
世界を変えていく🌸
「オレの記念日」は、そんな映画かもしれません。
そうそう。ナレーションは、小室等さん。
ほっこりとやさしく包みこむようなナレーションが
この映画にぴったりです🌷