月刊「地域人」での連載「港町ブルース」。 (発行:大正大学)
2022年6月15日売り(82号)。
木曽川、長良川、揖斐川(いびがわ)の河口域に位置する赤須賀(あかすか)漁協で、
「桑名のハマグリ」復活をはじめ、
シジミの資源激減やシラウオ漁の話を聞きました。
「その手は桑名の焼きハマグリ」
という言葉がありますが、
桑名のハマグリ漁は450年以上の歴史があるそうです。
「ここの漁業は、すべて木曽三川の恵みです」
水谷隆行組合長は言いきります。
河口域には豊かな汽水域が生まれ、広大な干潟が広がっていました。
二枚貝やゴカイなどが水を浄化し、
産卵や幼稚魚を育む「海のゆりかご」になっていました。
ところが、四日市コンビナートができ、工場廃液で海が汚され、
木曽岬埋め立てで干潟が消滅。
木曽川大堰によって河川流量が変化。
火力発電所の温排水で海水温上昇。
そして豊かな環境を決定的に変えてしまったのが、長良川河口堰(1994年)でした。
漁場が縮小され、なにより潮流と水質が大きく変えられ、
その干潟が急激に減ってしまったのです。
1971年には年間3000トン採れていたハマグリは、
1995年には0・8トンになり、絶滅の危機に瀕しました。
水谷さんたちは、桑名の漁師のプライドをかけて、
復活への動きをはじめました。
地域とともに生きる漁業にとって、
大切なことは何かを考えて、実行するなかで、
地域のひとたちとの「こころの連携」
そして、海と山と川はつながっていることに気づいていく。
────その物語が胸にきました。