月刊「地域人」での連載「港町ブルース」。 (発行:大正大学)
2022年9月15日売り(85号)。
横浜・小柴のアナゴ漁の話をうかがいました。
東京湾ではアナゴは筒漁という漁法でとられます。
筒の中に餌を入れると、
アナゴはその匂いにひかれて、筒ににゅるりと入り込みます。
その筒は、いったん入ると、出られない仕掛け。
筒に入ったアナゴを回収するとき、
中には海水が入っていて、けっこうな重さです。
なので、負担を軽くするため、
筒には水抜き穴(直径9ミリ)が空けられています。
漁師の斎田芳之さんは考えました。
アナゴの資源保護のためには、
水抜き穴を大きくすれば、小さいアナゴは逃げられると。
そうして、9ミリの穴を13ミリにしました。
「逃がして育てるアナゴ漁」です。
齋田さんは言います。
「優しい漁法でとるアナゴは、やさしい顔をしています。
魚の顔や身体に、美味しさは出ます。
姿かたちがきれいだと、そのお魚は美味しい。
人間と同じで、味わいは外ににじみ出るんですよ」
「アナゴもストレスを与えず、習性を利用して、優しく扱っています。
そうすると、肌の色つやのいい、美味しいアナゴになる。
人間だってストレスたまると、おっかない顔になっちゃうでしょ?」
「自然はぜんぶつながってますからね。
魚も人間も、幸せだなと思える暮らしが大事。
『幸せを感じる東京湾』じゃないと、いけないです」