二子玉川に虹が出ました。
No rain, no rainbow.
雨がなければ、虹は生まれない。
* * *
(『炭酸ボーイ』のラストシーンも、虹が大神島から宮古島にかかる場面です)
雨脚が風になびく大神島の浜から、眼下の青の浜までするすると虹がのびてくる。
やがて、空に大きな虹の橋が立った。
しんとした神の山に、みどりの樹々を揺らす風の音がひびいている。
「天の蛇が炭酸水を飲みにやってきたんじぇねえのか?」
真田が目を輝かせた。
背中には太陽のぬくもりがある。
「雨がなければ、虹も炭酸水も生まれませんもんね」
涼太がつぶやくように言った。
その声が聞こえたのか、虹はちょっと恥ずかしそうにゆらめくと、空の彼方に音もなく消えていった。
(『炭酸ボーイ』)