JF全漁連のウエブマガジン「サカナディアSakanadia」の連載
『ニッポンさかな酒』にて、
「秋刀魚、苦いか、しょっぱいか」の記事を掲載しました。
https://sakanadia.jp/sakana/pacific-saury/
サンマの塩焼きは、秋の味覚の代表。
やはり開きよりも好き。
カボスやスダチを搾り、醤油をかけ、大根おろしを添えて食す。
ああ、書いているだけで唾液が分泌してきます。
じつは、サンマははらわたが一番美味しいのではないかと最近やっと思うようになりました。
まだ若い頃は、はらわたの色といい味といい、ちょっと箸はつけても、はっきり言って苦手だった。
しかし、しかし。このはらわたの苦みがいい。
苦手から苦みへの移行なのです。
思えば、味覚はまずは「甘み」からはじまり、
やがて大人になるにつれて、
「苦み」が理解できるようになります。 味覚の「深化」です。
たとえば春の山菜、フキノトウ、タラの芽。ゴーヤー。ホヤ。蟹みそ。
そしてサンマのはらわた。
飲みものならコーヒーやビール。
もっと苦いのはアンゴスチュラ・ビターズというリキュール。
苦みは清冽な小川の水のように、舌を洗ってくれ、
たましいが浄化されるようにも感じます。