「ボブ・マーリー ONE LOVE」を観ました。
ボブ・マーリーの生涯を描いた映画です。(ノンフィクションではなく)
キングズリー・ベン=アディルがマーリーを演じ、
ボブの妻リタと子どものジギー、セデラが監修・製作として参加しています。
マーリー一家は、「レゲエ界のロイヤルファミリー」といわれるほど。
(こんなふうに言われるのは、ボブは嫌だったはず)
世襲みたいなのって、ぼくは好きじゃないので、(とくにクリエイティブの世界で)、
ボブの妻子がつくる映画か・・とちょっと斜めから見ていた部分もあったのですが、
実際に観てみると、とても面白い映画でした。
ボブ・マーリーの声やしゃべり方もそっくり、
ピーター・トッシュのギターの弾き方、歌い方もそっくり。
ときおりはさまれる当時のほんとうのライブ映像などが
リアルな感覚をつくりだしていました。
ボブが襲撃されたとき、瀕死の重傷を負ったマネージャーが、
契約金を着服していた事実を知ったとき、
ボブがそのマネージャーを殴る蹴るの暴力シーンは印象的。
へえーっ。ボブも怒ると、やっぱ、こうなるんだ。
そりゃ、このくらい激しい性格だよなと、
妙な納得感がありました。
けっこう神さまっぽく思われるボブ・マーリーの怒りや嫉妬などを
この映画はうまく描いているように思いました。
なんといっても、当時のジャマイカのシビアな政治状況のなか、
ボブは政治は嫌いだけれど、
コンサートを開くことで、すこしでもみんなが一つになれるようにと
苦労するところも印象的。
実際に、コンサート会場では、対立する政治家を舞台に上げて、
二人を握手させたのでした。
* * *
最初に、ボブが生まれたセント・アン教区のナインマイルズ村が
出てきますが、
1989年に、友人とふたりでこの地を訪ねたときの、
みどり豊かな風景がよみがえってきました。
キングストンからブルーマウンテン山脈を越えて、
ナインマイルズを訪ねました。
そのブルーマウンテンの峠に、ヤム芋の焼き芋屋がありました。
これが、ジャマイカで食べたもののなかで、いちばん美味しかった記憶があります。
ボブはヤム芋が好きだったそうです。
峠のこのヤム芋を食べたかもと思うと、なんだかうれしかったです。
生まれた家にはお墓もあるのですが、
そこでは、ボブのお母さんと二段ベッドのようになっていて、
ラスタの兄ちゃんと姉ちゃんが、古いスクラップブックをめくりながら、
ボブの一生を語ってくれました。
ラスタの二人は、ずっとガンジャを吸っていて、お墓(部屋のようになっている)
の中には、ガンジャの煙がもうもうと漂っていました。
そんなこんなを思いかえしながら観た、この映画。
感無量でした。