作家・吉村喜彦のホームページ

東京最古の酒屋が、神田の「豊島屋(としまや)本店」。
豊島屋玄関
新刊『江戸酒おとこ』でも、
江戸に出てきたばかりの主人公・小次郎は
豊島屋の若旦那・幸太郎に兄事します。

商いの天才のような幸太郎に、小次郎はいろいろアイディアをもらったり、
サジェスチョンしてもらうことで、
新商品「特撰隅田川」を生むことになります。
江戸酒おとこ表紙

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じっさい、豊島屋は江戸時代には、酒屋はもちろん、居酒屋も経営していて、
この居酒屋では、酒は原価で飲め、食べものは大きな豆腐田楽が目玉でした。

また、「「山なれば富士、白酒なれば豊島屋」といわれるほど、
桃の節句の白酒が有名でした。

江戸時代後期、1834年と1836年(天保5年と7年)に刊行された名所案内
『江戸名所図会』には、豊島屋の白酒の売り出しシーンが載っています。

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その豊島屋の16代目社長・吉村俊之さんにお目にかかりました。
たいへん穏やかでジェントルな吉村さん。
同じ吉村なのに、ぼくとは大違い。
吉村俊之さんと
大学も同じ京都大学ということで、初対面から京都の話で盛り上がりました。(ふたりの青春の街ですもんね)
生まれも12月の射手座というのも同じで、なにかご縁を感じます。

吉村社長がわざわざ金庫から出してくださったのが、
白酒売り出しシーンの描かれた
「江戸名所図会」のホンモノ。
江戸名所図会1

これには、のけ反りました。
江戸時代の、ほんとうの、書物!
江戸名所図会2

実際に目の当たりにすると、その繊細な筆遣い、人物描写など
鳥肌がたつほど感動しました。

なんだか、江戸の空気がふわりと漂いだしたような
気分。

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豊島屋には「江戸酒王子」というお酒もあります。
江戸酒王子
『江戸酒おとこ』が「江戸酒王子」を飲みました。

これは、いまの日本酒には珍しく、酸味の強い、シュッとしたお酒。
酸味のあとには、上品な甘みがきます。
梅酒のような、酸味のつよいドイツの白ワインのような・・。
きっと、ブルーチーズや和食なら魚の濃いめの煮付けに合いそう。
豊島屋の酒
おもわず1本、買いました。

いやあ、今日は、完璧に江戸にトリップした一日。
良き日でした。

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