さて、今日最初は、アメリカ合衆国に行きましょう。
アメリカの蒸留酒(スピリッツ)は、ヨーロッパからやってきた移民たちによって、
たとえば、オランダ人はジンを、フランス人はブランデーをという風に作られました。
さて、ウイスキーはどうだったんでしょう?
アメリカのウイスキーづくりは、やせた土でもよく育つライ麦を主原料に、ペンシルベニア、メリーランド、バージニアなどの州で、スコットランドやアイルランド、ドイツからの移民たちによって、「ライ・ウイスキー」を作ることからスタートしたようです。
なので、アパラチア山脈の東側にある独立13州では、ライ・ウイスキーが飲まれていたんですね。
そう。バーボン以前に、ライ・ウイスキーがあったわけです。
「マンハッタン」というアメリカを代表するカクテルがありますが、
ライ・ウイスキーとスイート・ベルモットをステアして作ります。
こんなところにも、アメリカ最初のウイスキーに対するリスペクトがあるような気がします。
ぼくは、ライ・ウイスキーのちょっとスパイシーな味わいが好きです。
では、いかにもアメリカらしいメロディラインを作る、ぼくの大好きなシンガーソングライター、ポール・ウイリアムズで「I won’t last a day without you」、どうぞ。
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M1.ポール・ウイリアムズ「I won’t last a day without you」 5:10
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さて、アメリカのウイスキーのお話、もう少し、続けますね。
アメリカ独立戦争の後、政府は、ウイスキーに重い税金をかけることを決めたので、
ウイスキー造りをしていた人たちは、政府の不当なやり方に抗議して戦いました。
その人たちの一部は、ぼくの小説のタイトルと同じ名前「ウイスキー・ボーイ」と呼ばれたそうです。
やがて彼らは、闘うよりも税金から逃れようと、アパラチア山脈を越え、
内陸部のケンタッキーやテネシーのほうに移動しました。
そこで出合ったのが、トウモロコシでした。
そして、トウモロコシを原料として作られるコーン・ウイスキー、
そしてバーボン・ウイスキーが生まれたのです。
バーボンの甘い香りと味わいは、ちょっと病みつきになります。
子どもの頃は、TVの西部劇を見ていると、砂埃にまみれたカウボーイが、
スイングドアを押してバーに入ってくると、すぐさま、ストレートグラスに入ったウイスキーがカウンターを滑ってくる。
それをカポッとひとくちで飲む姿に憧れたものでした。
大学生の頃には、吉田拓郎の歌に惹かれて、バーボンをよく飲み、やがて、お酒の会社に入って、バーボン・ブームをおこすソーダ割りキャンペーンを成功させました。
バーボンとは、ほんとに深いご縁を感じます。
では、ジム・クロウチの歌で「I got a name」、どうぞ。
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M2.ジム・クロウチ「I got a name」 3:15
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さて、アメリカといえば、カクテルの本場。
西海岸のロサンゼルス生まれのカクテルに、ぼくの大好きな、ウォッカを使った
「モスコーミュール」があります。
「モスコー」はウォッカの本場ロシアの「モスクワ」
「ミュール」は「ラバ」とか「頑固者」、つまり「モスクワのラバ」という意味。
ラバは後ろ脚で蹴るクセがあることから、「ラバに蹴飛ばされたように、アルコールの強いキックが効いてくる」ことから、その名がついたとも言われています。
氷を入れた銅製のマグに、ウオツカにライム・ジュース、冷たい辛口のジンジャーエールを注いで、軽くステアして、できあがり。
冷え冷えのマグに、キリッと辛い液体。ショワーッと頭と身体が冴えかえります。
まさに、ラバの後ろ脚キックが効いてきます。
では、アメリカを愛するがゆえに、辛口のジョークをまじえた、素晴らしい歌をうたう、
ロサンゼルス生まれのランディ・ニューマン。「Sail away」。聴きましょう。
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M3.ランディ・ニューマン「Sail away」 2:50
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さて、今日、最後は、オーストラリア。
オーストラリアはワインで有名ですが、じつは、サイダーも美味しいです。
サイダーといっても、日本のサイダーではなくて、アルコールの入った飲みもの。
リンゴから作られる発泡性のお酒です。
リンゴの発泡酒といえば、フランスのシードルが有名ですが、オーストラリアでは、
この10年ほどの間に、あらためて、サイダーの人気が高まって、国産の新しいブランドが
どんどん生まれているそうです。
オーストラリアのサイダーは、もちろんイギリス文化の影響ですが、
イギリスのパブなどで親しまれている「ペリー」といわれる「洋ナシのサイダー」が、
オーストラリアでも作られていて、こちらはアップルサイダーに比べると、ちょっと甘めです。
オーストラリアのビールも美味しいですが、
ぜひ、サイダーやペリー、トライしてみてください。
ということで、オーストラリアのバンド、クラウディッド・ハウスの
「Don’t Dream It’s Over」を聴きながら、今日はお別れです。
ご案内は吉村喜彦でした。
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M7.クラウディッド・ハウス「Don’t Dream It’s Over」 3:58
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