「ズルイことは嫌いなんだ!」
デブで、カナヅチで、オネッショったれ。
弱点だらけの小学6年「こぼん」ちゃん。
気になる女の子に、エコヒイキ教師・・・。
苦手なライバルとの勝負の水泳大会はもうすぐ!
でも、最大のピンチは、最大のチャンスだ!
変わりゆく街並み、失われる自然。
1960年代の大阪を
「こぼん」のまっすな目を通して、みずみずしく描きます。
青空と夏の風を愛する「こころの少年少女」に贈る涙と笑いの深〜い成長小説。
ベストセラー『ビア・ボーイ』につづいて文庫化なった、吉村喜彦の処女小説。
なお、この『こぼん』は、2000年に新潮社から単行本で出版。2011年に文庫化。
文庫化に際して、だいぶ手を入れています。
また、『こぼん』は、2002年の山口県と茨城県の県立高校の「国語」の
入試問題として出題されました。
それ以降、各種、たくさんの塾の教科書や参考書で掲載されています。
* * *
椎名誠の解説より
水泳大会の臨場感溢れる描写によって
この小説はきわめてストレートな「こぼん」の成長物語であったのだな、
と読者は気がつくことになるわけです。
このカタルシスと、最後まで明るい 「こぼん」の一人称の語り口が、
次の大きな成長を暗示しているようで、
読むものは一様に満足してページをとじることができるでしょう。